イングランドサッカー、GK戦術的タイムアウト撲滅へ実証実験開始
イングランドサッカー界が、ゴールキーパーによる「戦術的タイムアウト」を根絶するための実証実験に乗り出す。FA、プレミアリーグ、EFL、ナショナルリーグ、女子スーパーリーグが合意し、国際サッカー評議会(Ifab)の許可を得た新ルールは、今シーズンから適用される。
問題となっているのは、GKが軽い接触や疲労を装ってピッチに座り込み、フィジオの入場を要請。その間に全選手がベンチ前に集まり、監督から戦術指示を受けるという行為だ。特に終盤、リードを守るチームが相手の勢いを削ぐために悪用するケースが後を絶たず、昨季もリーズのダニエル・ファルケ監督がマンチェスター・シティのGKジャンルイジ・ドンナルンマに対し「ルールを曲げている」と激怒。ホームのリーズファンはブーイングで抗議した。
そこで英サッカー界が考案したのが「GK治療時は10秒以内にフィールドプレーヤー1人を指名し、プレー再開から1分間退場させる」というルールだ。もし10秒以内に選手が選ばれなければ、キャプテンが退場の対象となる。このアイデアは、昨季『マッチ・オブ・ザ・デイ』解説者のダニー・マーフィーが提案したもの。「GKが倒れたら、GKではなくフィールドプレーヤーを1人退場させれば公平だ。小さな変更で大きな違いを生む」と彼は語っていた。
新ルールは、カラバオカップ予選ラウンドのトラン・メリ戦で初導入される。オーストラリアAリーグでは、常にキャプテンが退場する別バージョンを試験中だ。Ifabのピエルルイジ・コッリーナ審判委員長は2月の総会で、この問題を最優先課題に挙げており、2026年W杯では全停止時に選手がテクニカルエリアに近づくのを禁じたが、水分補給の3分間で自然にチームミーティングが行われるなど、効果は限定的だった。
英サッカー界は、単にテクニカルエリアへの接近を禁じるだけでは監督の「時間稼ぎ」を止められないと判断。フィールドプレーヤーが治療を受ける際は1分間退場する既存ルールと同じ論理をGKにも適用することで、抑止力を高める狙いだ。試合終了間際、10人で守らなければならないプレッシャーは、GKに偽装負傷を思いとどまらせる十分な効果が期待される。
一方で、けがを隠してプレーを続ける選手が出る懸念もある。Ifabはシーズンを通じて実験結果を評価し、2027-28年から恒久的なルール改正を目指す。
またIfabは、FIFAがW杯でシミュレーション行為に誤認警告を出した問題を受け、誤認ルールに関する見解も発表。パラグアイのミゲル・アルミロンとスイスのブレエル・エンボロが該当し、エンボロは累積警告でアルゼンチン戦で退場となった。Ifabは「好意的に受け止められたが、VARプロトコルの詳細レビューが完了するまで使用すべきではない」としている。
今、あなたにオススメ